「ばか野郎!! あんな痩さ狼なんかに触らせやがって」
「何よっ犬夜叉、触らせたって。ただちょっと手を」
「何がちょっとだ!!……けっ」
犬夜叉は一人先へと歩いて行ってしまった。
かごめは言葉もなかった。
いつもと同じ言い争いだった。
しかし、かごめとてこんな風に言い争いたくはなかった。
「かごめ様、お気になさらず」
「癇癪持ちだね。ホントに」
「ガキじゃ。」
「かごめ様の気持ちを分かっていながら、どうしてああも子供なのでしょうなぁ」
「……私も先に行くね」
かごめは三人を置いて、犬夜叉の元へ走って行った。
「結局、かごめちゃんが歩み寄るんだね」
三人は二人の背中が近づいていくのを見ていた。
「犬夜叉! 犬夜叉待ってよ」
「うるせえ」
その言い草にかごめは少し驚いた。
『まだ、怒ってる。私が悪いのかもしれないけど、もっと優しくしてくれたって……』
「ごめんね。犬夜叉、私っ」
『えっ、どうなってるの?』
「謝ってんじゃねーよ」
かごめは犬夜叉の温もり全身で感じた。
犬夜叉の手が、かごめの背中に回る。
「犬夜叉……」
「黙って」
犬夜叉は少し体を離して、かごめの手を取った。
彼はかごめの指を舐めると、何度も舐めた。
「ちょっ……犬夜叉」
「かごめ、あいつに触らせんな」
「えっ、うっうん」
「よし」
犬夜叉はかごめの唇にキスをすると、何事も無かった様に、歩き出した。
「なんなの!? もう……」
『いきなりなんだから……』
090526
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