090526
「ばか野郎!! あんな痩さ狼なんかに触らせやがって」
「何よっ犬夜叉、触らせたって。ただちょっと手を」
「何がちょっとだ!!……けっ」
 犬夜叉は一人先へと歩いて行ってしまった。
かごめは言葉もなかった。
いつもと同じ言い争いだった。
しかし、かごめとてこんな風に言い争いたくはなかった。
「かごめ様、お気になさらず」
「癇癪持ちだね。ホントに」
「ガキじゃ。」
「かごめ様の気持ちを分かっていながら、どうしてああも子供なのでしょうなぁ」
「……私も先に行くね」
 かごめは三人を置いて、犬夜叉の元へ走って行った。
「結局、かごめちゃんが歩み寄るんだね」
 三人は二人の背中が近づいていくのを見ていた。

「犬夜叉! 犬夜叉待ってよ」
「うるせえ」
 その言い草にかごめは少し驚いた。
『まだ、怒ってる。私が悪いのかもしれないけど、もっと優しくしてくれたって……』

「ごめんね。犬夜叉、私っ」
『えっ、どうなってるの?』

「謝ってんじゃねーよ」
 かごめは犬夜叉の温もり全身で感じた。
犬夜叉の手が、かごめの背中に回る。
「犬夜叉……」
「黙って」
 犬夜叉は少し体を離して、かごめの手を取った。
彼はかごめの指を舐めると、何度も舐めた。
「ちょっ……犬夜叉」
「かごめ、あいつに触らせんな」
「えっ、うっうん」
「よし」
 犬夜叉はかごめの唇にキスをすると、何事も無かった様に、歩き出した。

「なんなの!? もう……」
『いきなりなんだから……』


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