「けっ鋼牙んとこへでも行く気かよ」 そういえば鋼牙くん、傷大丈夫かしら。 そうふと思い出したのである。 黙り込んだかごめは雲母に乗って、行ってしまった。 「かごめちゃん、まさか……」 「犬夜叉!何故止めなかった!!」 「かごめ~」 二人は犬夜叉を責め、七宝は既に泣いていた。 「雲母、此処でいいわ。ありがとう」 雲母から降りるとかごめは一人歩き出し、雲母は珊瑚達のいる場所に引き返した。 その頃、鋼牙は近づいて来る匂いを感じていた。 「おいっかごめが来る。迎えに行け!」 「姐さん」 「あっ迎えに来てくれたの」 「あっはい、姐さんは何故来てくれたんですか? あの人達との旅は?」 「犬夜叉、私の顔見たくないんだって、私もちょっと疲れちゃったし、息抜き。 実家に帰る前に、鋼牙くんを見舞って行きたくて来たの」 「姐さん、優しい……」 「嫌だな、大げさな」 かごめは再び妖狼族の巣に入った。 「姐さん……」 苦しそうな鋼牙に寄り添っているのはかごめが助けた彼だった。 「鋼牙くんの様子は?」かごめも鋼牙のそばに座り、鋼牙の顔色を見つめた。 鋼牙は苦しそうな息の中、かごめを呼んでいた。 「腕の傷見ていい?」 「えっはい……」「鋼牙……」 二人が心配そうに見つめ、巣の中のみんなが鋼牙を心配していた。 かごめの目の前に傷が現れた。 かごめは四魂かけらを取り出した。 「姐さん、それは」 「一つは元々、鋼牙くんのものよ。 もう一つは極楽鳥の残骸から取り出したものよ」 かごめはそれを傷に埋め込んだ。 「我慢して」 鋼牙の右腕の傷はみるみる塞がった。 これで鋼牙の右腕には二つの四魂のかけらが埋め込まれた。 「顔色も大分戻って来た」 「もう大丈夫だわ。みんなも休んで」 「姐さん、お休みなさい」 「お休み」 良かった、鋼牙くん。 ふぁっ、私も眠い。 かごめはそのまま寄り添う様に鋼牙の横で眠った。 そうして慌ただしい1日が終わったのである。 鋼牙がそばにある甘い香りに起こされた。 何だ? かごめ!? ちょ、何でこんな状態に。 かごめは鋼牙の胸に手を置いて、鋼牙の耳元ですやすやと寝息を立てていた。 「かごめ、まだ起きるなよ」 鋼牙はゆっくりとかごめを抱いてそのほっぺに口付けた。 「甘え……」 「鋼牙!」 鋼牙が起き上がると二人が焼き肉を持って来ていた。 「何だそれ」 「かごめ姐さん、昨日から何も食べてないから」 「何だ、てめーらもかごめのこと気にいったのか? 手ー出すんじゃね~ぞ」 とかごめをぎゅっと抱きしめたのである。 「……鋼牙くん」 「起きたか、かごめ、ほい朝飯、こいつらから」 「ありがとう、お腹ペコペコ」 かごめは一通り食べるとかごめの残した肉は鋼牙が食べた。 滝の外に、出て行くかごめについて鋼牙も巣から、出ていった。 「かごめ?」 「鋼牙くん、このへんに水浴び出来る所ないかしら? 体がべたべたしちゃって」 「ああっ連れてってやる」 鋼牙がかごめを案内したのは、小さいながらも、周りは草木に囲まれていた。 誰にも見られずに裸になれるもってこいの場所とも言って良いだろう。 「見ちゃ駄目だからね」 「へっ」 無意識ににやにやしていた鋼牙にかごめは伝えた。 「見ないよ。かごめは今に俺の女になるんだ。 そん時にじっくり見るぜ」 そう言われると、かごめにはこの2人っきりの状況を作り出してしまった自分に怒った。 私ったら、まだ犬夜叉の温もりを覚えてるのに、鋼牙くんの所に来て、 思わせぶりな態度取って……。 一人で何してるんだろ。 鋼牙くんのことは嫌いじゃない。 私のこと守ってくれるし、好きだって言ってくれる。 だから……。 かごめは水に浸かりながら考えていた。 このまま、犬夜叉が迎えに来なかったら、私どうするだろ。 そう思うと頬を涙が伝った。 「かごめ」 「イヤだ、鋼牙くん入ってきちゃ」 かごめの体は、鋼牙の体に包まれた。 かごめと鋼牙は二人、小さいな池の中で肌を合わせている。 「何泣いてるんだ。まさか犬っころのことでも思い出したんじゃないだろうな?」 「鋼牙くん、私っ」 「泣くな!」 鋼牙はぐっとかごめを抱く腕に力を入れると、かごめの髪に顔をうずめながら 「俺はお前しか、愛さない。かごめしか」 その時かごめには鋼牙の体温と共に、心臓の音が伝わって来た。 高鳴っているそれが、鋼牙の緊張を表している。 犬夜叉とは違う匂い、体温、口調。 かごめにとってはどれも新鮮で嬉しい。 「鋼牙くん、私と一緒に四魂のかけらを集め、奈落と闘ってくれる?」 「いいぜ。かごめの為だ」 「ありがとう……」 「かごめ、礼なら他の事で受け取りたい」 「えっ」そうだった。私、今裸!? 「あの……」 「しちゃ駄目ってことないだろ。お前はもう俺の女だ」 「あっ」 鋼牙はぎゅっとかごめを自分の体に引き寄せて、抱きしめた。 さっきよりも鋼牙の体が熱くなっているのが分かる。 かごめの体も。 かごめは抵抗しなかった。 体に落ちる多くの口付け。 最初は恥ずかしい様な、もどかしい様な。 段々、かごめも大胆になって来て、彼の首に手を回して……。 彼は受け入れると、すぐに何だか分からなくなって来て、 自分じゃないような、声が出た。 揺れる水面や、そこにうつる自分の顔なんか、どうでも良かった。 今欲しいのは目の前にいる、その彼であり、彼女なのだから。 「あっ 鋼牙くんっ……」 トップへ戻る