091112 009X003
 

 僕は君に出会えて変わった。

 フランソワーズ……。


「ジョー! ジョー!! あっみんなジョーが目を覚ましたわ」
「大丈夫か? 009!」

 僕は敵の攻撃を受けて、意識を失っていた様だ。
温かい、彼女が僕の顔を覗いている。

「フラン……っ」
「ジョー……私の為に」

 体を動かそうとすると、機械なのに体が軋んだ。
何だか、本当に調子が悪いみたいだ。
僕はフランソワーズに体を預けたまま、
傷ついて、君に支えられて、情けない。

 そうだった。俺は彼女を助けて、自分は逃げ遅れて……。
情けなさ過ぎて、笑える。
笑ったら、唇の端が痛い、切れてるのか。

「ハハハッ」
「ジョー! ちょっと」


 
 ぼんやりとした視界が段々鮮明になった。
見慣れた天井がそこにある。
僕が次に気が付いたのは、ギルモア邸の自室だった。
 あれからどうなったんだ? みんなは!?
嫌な予感がした。安否を確かめる為に、重い体を起こした。
ベットから出て、ドアノブに手をかけようとした時、ドアが開いた。
「ジョー 起きたのね。ダメよ。まだ寝てなきゃ」
 僕に使うであろう、特殊な医療器具を置いた。
彼女の手が僕の腕を取って、ベットへと誘った。
「大丈夫だよ。それより、みんなは?」
 僕はベットに腰をかけて、おとなしく、彼女の診療を受けることになった。
「大丈夫。みんな無事よ」
 その言葉に安堵した。そして、やっと生きた心地がした。
温もりある彼女が目の前にいるのだから。
僕が体を自由に動かせることなどを確認すると、熱を測ったりしていた。
 何だかいいにおいがする。僕は思わず彼女の髪に顔を埋めそうになって
「ジョー!」
「ごっごめんっ いて……」
「あら、切れてるのね」
「気にしないで、舐めておけば治るよ」
「そうね……」

 あれ?
今のなんだった。
やわらかいものが……フラン。

「早く治るおまじないね」
 そういうと彼女は立ち上がり、僕に背を向けた。
出て行こうとする彼女に僕は
「フランソワーズ! シャンプー変えた?」
「分かった? 香りが気に入ってるの」
 ぱたりと閉まったドアを僕は見つめていた。
今になって、顔が赤くなる。
まさかフランソワーズからキスして来るなんて……。
彼女は僕の気持ちを知っていたのかな?