100131
「はぁ~食った食った~」
「ごちそうさまでしただっ」

 昼ご飯を食べ終わった。
何か眠くなって来たなぁ、とうとうとし始める悟空。
そんな顔を横目に洗いものを始めるチチ。
いつも通りの展開に彼女はあきれた。
一度でも彼が手伝おうとしたことがあっただろうか?
いやない、食べるだけ食べて、はい終わりである。
それが毎日続いている。
新婚生活とはこんなものか?
と最近思い始める。

『苦労ばかりだなぁ……』

「チチ、オラも手伝うぞっ」
 はぁっとため息をついた妻に夫はそう言った。
「どうしただっ悟空さ! さっきまであんなに眠そうだったのに」
「手伝うっていってんだろっ」
 チチの手からひょいと重なった皿を取ると台所まですいっと持って行ってくれた。
「悟空さ、そんなことしなくても」
「チチがやってんのいつも見てるからなっオラにもこれくれー出来るって」
 チチの心配をよそにてきぱきと洗い始めるその手際のよさ、彼女の倍の早さで悟空は洗い終えて行く。

「よし、あと一枚っ」
 悟空が洗った皿をチチはふきんで拭いて棚に戻す。
いつもは一人でしていることだったので、今日は半分の時間で済んだ。
「終わった~」
「悟空さ、ありがとう」
「今度からはオラも手伝うからさっ」

 ニヤっと笑う悟空の顔を見て何か別の意味が含まれていないか? 
チチは考えたが、悟空がそんなことを考えるはずがないと、考え終えてしまった。

 悟空はその後、修行にも行かずにソファに座ってのんきにテレビを見ている。
チチは二人分のコーヒーを作り、持って悟空の隣に座った。
「悟空さもたまには飲むだよっ食後のコーヒーだ」
「それっ苦いだろっオラ嫌いだ」
「そんなこと言わねぇ~で、悟空さの好みにしといたから」
「オラの好み?」
 テレビにはお昼過ぎのニュース番組が流れている。
悟空はカップを手に取り、まず見た目はいつより黒が薄い感じのようだ。
口をつけるとミルクたっぷり、それでいて甘かった。
「苦くねぇ」
「だろっ なぁ悟空さ 今日は修行行かなくていいのけ?」
「朝、やったしな」
「いつもは昼食べたらすぐまた行っちまうだろ?」
「今日はいいんだっ たまにはこうやってチチと過ごすのもいい」
 と肩を抱かれたもんだから、チチはドキドキした。

『やっぱり、悟空さ 変なこと考えてるんじゃ!!』
その隙に悟空の頭はチチの谷間におさまって
「悟空さっなんだべ昼まっから」
「なるほどな。じっちゃんがパフパフが好きな訳だ。やわらけっ」
「……っ」

 悟空はそのままチチの胸に顔を埋めて寝てしまいました。

「もうっ悟空さ おらのドキドキを返してけろっ」