090803
 お前は知らない、俺の気持ちを……。
馬鹿だな俺も、パンツ見たぐらいで赤くなってさ。
レインに触れる時、感情を押し殺している、俺。
いつまでこんな旅が続くんだろう。
こんな旅……。
俺の目的は、デビルガンダムを倒して、大会で優勝して、父さんを助ける。
それだけだったはずだ。
でも、いつも俺はレインのことを目で追っていて、
そんな自分に気が付いても……
レインは元先輩のことをまだ好きかもしれないな。
 旅が終わったら、あいつの所に戻るのか??
そんなことは聞けない。

「レイン、日も暮れて来た。今日はこれまでにして置く」
 シャイニングガンダムのコックピットにいるであろう、レインに声をかけた。
しかし、返事がない。それだけでドモンは不安になった。彼女の安否の確認を急いだ。
「レイン、いないのか?」
 コックピットを覗くと、レインが眠っていた。
メンテナンスは終わったのだろう。用具は綺麗に片付いていた。
「疲れていたんだな。ずいぶん連れまわしているからな」
 ドモンはレインの髪に触れた。その時、自分の指が濡れていることに気が付いた。
ドモンは、体を拭かないままに、ここに上がって来てしまったらしい。
「寝かしといてやるか……」
 ドモンはコックピットから離れた。


「これでいいな。レインは寝ているし、自然乾燥というやつだ」
 ドモンは女子がいないことをいいことに、全裸で涼んでいた。
「最高だな。そういえば、師匠と修行していた頃はこれが普通だったな」
 そう思い出したのも、つかの間、自分が今師匠とは敵同士だということを、思い出した。
考えたくもないことだろう、自分を育ててくれた人が自分を潰しに来るのだから。
「師匠……」
ドモンは小鳥の鳴くような声で言った様だった、その声は女性の悲鳴にかき消された。
「レッレイン!?」
「ドモン!?」
「あのっこれは、べつにっ!! 」
 背後から聞こえた悲鳴はレインのもので、驚いたドモンは後ずさり、ドボン。

 せっかく乾かしていた、その体をまた水に付けてしまったのだった。


「ドモン、火が付いたわ」
「ああっ」
 夜になり、気温も下がって来ていた。
火の側に座るドモンは、武者震いをしている。
「大丈夫、ドモン?」
「平気だ。これくらい」
 そう言ってまたブルリと体を震わした。
そうやって縮こまり、しおれていると、いつもの
有り余った元気が見当たらない。
黙って火を見つめている、彼は何を考えているのか?
彼女には計り知れない。

 ドモンは知らない、私の気持ちを。
パートナーとしての私。
そうとしか、見てくれなくて……。
寝たふりをしていても、髪を触るだけ。
寝かせとこう、なんて気遣いまで。
いつものドモンなら、寝てても関係ないな、って。
 ドモンだけ大人で嫌だ。

ドモン、私が誰のことを好きか、知ってるよね?

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